MSA(多系統萎縮症)

■概念
  • 一番多い脊髄小脳変性症で、孤発型である。
  • MSA-C(OPCA オリーブ橋小脳萎縮症)
  • MSA-P(SND 線条体黒質変性症)
  • Shy-Drager症候群 の3疾患を包括する概念だったが、現在は初診時にパーキンソニズム主体か小脳症状主体かでMSA-CかMSA−Pの2つに分けられる。
  • 鑑別が最も重要となるのがパーキンソン病。
■症状
  • 進行性にパーキンソン症状、小脳症状、自律神経障害や錐体路障害がさまざまな程度の組み合わせで出現する。
  • いずれの場合も自律神経症状は初期から認められることが多い。
  • MSA-P(パーキンソン型)は、パーキンソン症状で始まり、被殻の変化が強く現れ、MSA-C型(小脳型)は小脳症状で始まり橋小脳の変化が強く現れる。MSA-PとMSA-Cは同一スペクトラムの疾患であり、進行すると症状、画像所見や病理所見が共通する。
  • 予後は不良。

多系統委縮症の画像所見

 MRI画像診断
 MSA-P
  • 被殻の外側凸な突出が萎縮して直線状に見える。背外側にT2WIで直線状の高信号を認める(ただし、萎縮を伴っていなければ生理的。MSA-Pでは被殻の萎縮により細胞外液腔の拡大により見えるため。)
  • 同部での進行した鉄沈着も目立つ。
  • 病初期はパーキンソン症状に左右差があり,それに対応して線条体の萎縮や異常信号にも左右差を認めることが多い。
MSA-C
  • 小脳橋底部や中小脳脚の萎縮、橋横走線維変性を反映した逆T字状もしくは十字状のT2強調像高信号化(“hot cross bun’’sign)
  • 中小脳脚の高信号化を認める。
※発症後の臨床症状の進行が速く、病初期からT2強調像で、被殻外側の高信号域や橋縫線部の高信号が目立ち、T2強調像で中小脳脚にも高信号域がある場合にはMSAと診断できる。

症例 60歳代男性 MSA-C

MSA-C1

hot cross bun signを認め、中小脳脚の萎縮および高信号を認めています。

MSA-Cを疑う所見です。

症例 60歳代男性 MSA-C

MSA-C2

中小脳脚の萎縮および高信号、橋底部、小脳脳の萎縮を認めています。

MSA-Cを疑う所見です。

症例 70歳代女性 進行性の右腕と脚の脱力。 パーキンソニズム。 発話の問題。

SWIで被殻の外側面に沿った両側低信号を認めており、淡蒼球よりも明らかに低信号で、鉄沈着が示唆されます。

T2WIでも低信号を認めますが、萎縮に伴う周囲の高信号ははっきりしない。

剖検にてMSA-Pと診断されました。

引用:radiopedia

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